トビウオ漁(網揚げ)
例年よりも早い切り上げ
今年のトビウオ漁・焼き干しづくりは、7月に入って間も無く終了しました。例年はもう少し続くのですが、今年は早めの切り上げです。トビウオが遅く来て、早く行ってしまったので短期間の漁となりました。漁は終わってしまいましたが、トビウオ漁の風景を数回に分けてお伝えしたいと思います。
早朝からの網揚げ
トビウオの網は昼過ぎから夕方にかけて仕掛けます。網を仕掛ける場所は、各地区ごとに行われるくじ引きによって決定します。くじ引きはその年に1度きり。くじ運が漁の良し悪しに影響してくるのです。
そして、網揚げは翌日の早朝です。地区や人にもよりますが、大体3:00頃になると船のエンジンが鳴り響きます。決められた場所に船を走らせ人力で網を揚げていきます。網を揚げてみるまで漁の多さは分かりません。300尾くらいであれば丁度良いのですが、1000尾や2000尾の大漁の際には網を揚げるのも一苦労です。大漁のときは、水中がびっしり真っ白に見えるそうです。
トビウオはオスからかかる
なぜトビウオがこの時期にかかるのかというと、飛島付近に産卵に来ているからです。島で多く揚がるトビウオの種類は「ホソトビウオ」と呼ばれるものですが、これは西日本でも漁の対象となっています。九州で作られている「アゴだし」もホソトビウオが使用されています。しかし、これらは飛島で揚がるものに比べると型が小さめです。実は、島で生まれたトビウオが成長しながら南下していったものが九州で水揚げされているのです。そして、また北上して生まれ故郷に戻ってきたトビウオが島で産卵をしています。
ところで、トビウオはなぜかオスからかかると島では言われています。漁が始まったばかりのトビウオは細身のものが多く、お腹を押してみると白子が出てきます。オスは脂が少なく、焼き干しが作り易いそうです。時期の終わりになってくると、お腹をぱんぱんに膨らましたメスがかかることが多くなります。そうすると、「今年もそろそろ終わりだな」と漁を切り上げる算段に入っていくのです。
しかし、今年は前半からメスが多くかかってみたり、終わりの頃になってみてもオスが多くかかってみたりと例年とは違う状況がありました。「海がおかしい」という話を最近よく聞きます。トビウオ、来年もまた帰って来てくれると良いですね。