トビウオ漁(捌き)
トビウオは鮮度が命!
前回に引き続き、トビウオ漁・焼き干しづくりの風景をお伝えします。
網揚げに出掛けた船が戻ってくるのは、朝5:00頃です。そんなに朝早くに漁に行かなくても、昼頃にでも網を揚げれば良いじゃないか、と思う人もいるかもしれません。しかし、このトビウオという魚はとても足が早いのです。少しでも太陽の光に当たって温度が上がってしまうと、途端に身がクタクタになってしまいます。出来るだけ涼しい時間帯に捌く作業を終わらせなければなりません。
勝浦・中村は背開き、法木は腹開き
さて、水揚げされたトビウオがどのように加工されていくのかを説明します。
まずは、鱗を落とします。トビウオには細かい鱗がたくさん付いています。羽の後ろも忘れないようにしっかり落とします。トビウオ漁のシーズンには、この細かい鱗が自分の頭や腕など至る所に付いてしまい、家の中まで鱗が侵入してくることも良くあります。
鱗が落とせたら、今度は頭をズバッと落として腹を裂きます。この捌き方は地区によって異なり、勝浦・中村地区では腹ではなく背から捌きます。今回は、法木地区の腹開きを紹介します。腹開きは、一度で完全に開くことの出来る背開きとは違い、一手間かかる方法になります。
腹を開いたトビウオの血合いをブラシで丁寧に落とします。この一手間が製品の美しさをつくる重要な作業です。
血合いを除いたら、真水でしっかり洗います。汚れが落ちてトビウオの青さが際立ちます。
水洗いしたトビウオを再びまな板に乗せて、中骨に合わせて包丁を入れていきます。
包丁を入れ過ぎても入れなさ過ぎでも悪い、経験を要する作業です。この作業は、漁師のお父さんよりも奥さんやおばあちゃんが行うことが多いです。
開いたトビウオは、よしずに並べて天日で干します。この後に炭火で焼く作業に移っていくのですが、十分に乾かさずに焼いてしまうと、ぼろぼろと身が崩れてしまいます。この天日干しの間に朝ごはんを済ましてしまいます。干している間に、サザエ漁に行ってしまう働き者の漁師さんもいるようですが…。さて、次回はようやく焼き干し作業に入っていきます。